201512企業分析インターン|「財務分析」についての解説

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この度は、弊社インターンシップへのエントリー、誠にありがとうございます。

ここでは、インターンシップ当日に皆さんに行って頂く財務分析を活かした企業分析の手法を紹介していきたいと思います。

就職活動をしていると、「ほんとにこの会社大丈夫?」「将来性や安定性は?」など、気になることが多いと思います。
この度のインターンシップでは財務分析も活かした企業分析を身に付けて頂き、今後の皆様の就職活動やその後の活躍の糧になればと思います。

当インターンシップの財務分析では、収益性分析と安全性分析、成長性分析を中心に見ていきますので、まずはそれぞれの財務分析の概要を確認します。
その後、主な分析手法についても解説致しますので、インターンシップ当日までに確認頂ければ幸いです。

  1. 収益性分析って何?
  2. 安全性分析って何?
  3. 成長性分析って何?
  4. その分析手法は?

1.収益性分析って何?

収益性分析とは、企業がどの程度の利益を獲得したのかを分析するものです。
企業(営利企業である株式会社だけじゃなくNPO法人であっても)が利益を出すことは目的や動機でもなく条件です。存続してさらにいいサービスやプロダクトを生むためには欠かせないものである利益を様々な角度から分析していきます。

分析対象企業がどれだけ無駄なく利益を生み出しているのかを見ることができ、企業間の収益力の差を比較するのに役立ちます。そのため、就職活動中に競合他社が多数存在する企業を分析する際、収益性分析がその指標になり、利益獲得能力の違いを把握することが出来ます。

2.安全性分析って何?

安全性分析とは名称の通り、その企業と付き合っても安全かどうかを支払能力や自己資本比率などから分析するものです。

安全性分析では企業の未払金や借金といった負債(他人資本)、企業が受けた出資額や企業の利益(自己資本)がどれぐらいの割合で調達されているかを分析することで、企業の資金に余裕があるかどうかや、企業の取引条件が同業他社と比較して不利ではないかどうか等を把握することが出来ます。
どんなに収益性が高く利益を上げている会社でも、売上債権(売掛金等)を回収し現金化することができなかったりすると、仕入債務(買掛金等)を支払えなかったり、借りたお金を返せなくなったりして(債務不履行)、会社の資金が不足することで黒字倒産をする場合もあります

3.成長性分析って何?

成長性分析とは、企業が過去の業績と比較してどの程度の成長をしているかを分析するものです。

成長性分析では、財務数値(売上高等)がどれだけ変化しているかを分析し、過去の財務数値からその企業がどれだけ成長したかを把握することで、将来見込まれる成長を予測するために用いられます。

成長性分析を行う際は、市場規模や市場シェアをどれだけ占めることが出来ているかを比較することが重要です。売上高の成長の要因がシェアの拡大なのか、市場規模が拡大したのかを把握しなければ、市場規模が拡大したことで市場シェアは縮小したが売上は伸びているということも有り得るからです。

また、成長率が高ければよいというものでもなく、売上高が急激に伸びることで、売上債権の回収管理や棚卸資産(商品)の管理、他にも人材育成等の企業の内部管理が追いつかない事態を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

4.その分析手法は?

企業分析における主な分析手法を解説致します。

収益性分析

安全性分析

成長性分析

ここでは収益性分析の手法、安全性分析の手法、成長性分析の手法その計算方法を記載します!
当日資料のどこを見ればいいかも記載してあるので参考にして下さい。

収益性分析

総資本利益率(ROA)

ROAは総資本(負債と純資産の合計)に対する当期純利益の比率です。

純資産と負債を含めたすべての資本を、どの程度効率的に運用しているのかを把握する指標となります。
また、会社の保有している資産で、どれだけ多くの利益を生み出しているかを示す指標ですので経営の効率性を把握しやすいです。
2%~5%が一般的な企業の数値と言われています。

公式 ROA(%)=(当期純利益/総資産)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の当期純利益を参照、連結貸借対照表の総資産合計又は総負債+純資産合計

自己資本利益率(ROE)

ROEとは、自己資本に対する当期純利益の比率です。

企業が投資家に投資してもらった資金からどれだけ利益を生み出せたかを知ることができるため、投資家が注目する指標でもあります。
すなわち、経営者や投資家目線で会社をみることができます。上場企業の自己資本利益率は10%程度です。

公式 ROE(%)=(当期純利益/自己資本)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の当期純利益を参照、自己資本は連結貸借対照表の純資産合計から新株予約権と少数株主持ち分を引いた金額

売上高総利益率

売上高総利益率とは、販売している商品の利益率が高いかどうかを把握する指標です。

一般的には粗利益率と呼ばれています。
売上高から仕入原価や製造原価といった売上原価を差し引いて計算される売上総利益は、商品力を表すもので、メーカーであればさらに製造効率を表す指標となります。売上高総利益率を算出することで、商品の優位性を知ることが出来ます。

公式 売上高総利益率(%)=(売上総利益/売上高)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高、売上総利益を参照

売上高営業利益率

売上高営業利益率とは、売上高に対して企業の販売・管理を含めた本業に係る活動でどれだけの利益を出すことが出来ているかを把握する指標です。

売上高営業利益率が高いということは、本業で費用をかけることなく売上をあげていることと繋がるため、本業でどれだけ効率のよい経営が出来ているかを把握することが出来ます。売上高総利益率では商品の優位性を、売上高営業利益率では営業活動を含めた本業の優位性を知ることが出来ます。

公式 売上高営業利益率(%)=(営業利益/売上高)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高、営業利益を参照

売上高経常利益率

売上高経常利益率とは、企業の本業に付随する活動も含めた事業活動の成果としての正常な収益力を把握することが出来る指標です。

経常利益には営業利益に経常的に発生する本業の付随的な活動(財務活動)による利息や配当なども含まれているので、企業の実力である正常収益力を知ることが出来ます。売上高経常利益率が高いということは、資産の運用、資金調達の方法等を含めた企業全体の経営が効率的に行われているかを把握することが出来ます。

公式 売上高経常利益率(%)=(経常利益/売上高)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高、経常利益を参照

売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率は3つを加味して、同じ業界を比較すると、その収益性を相対的に判断できます。

売上高当期純利益率

売上高当期純利益率とは、その事業年度におけるすべての損益を加味した企業の収益力を把握する指標です。

この比率が高いほど処分可能な利益、すなわちその年に得られた配当可能な利益の獲得効率が高いと言えます。
業界や業種によって異なりますが目安としては3~4%以上であれば、投資効率の良い会社であり、金融機関や投資家、株主からの信頼も厚い会社であることがわかります。

公式 売上高当期純利益率(%)=(当期純利益/売上高)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高、当期純利益を参照

売上債権回転率と売上債権回転期間

売上債権回転率とは売上債権(売掛金、受取手形)の回収、つまり資金化にどの程度の期間を要しているかを把握するための指標です。

売上債権回転率が高いほど、債権回収の期間が短く、納品から回収までのサイクルが早い事を意味します。さらに回転期間を計算することで、年単位、月単位、日単位での売上のうちどの程度の期間で売上債権を資金化出来ているかというサイクルを求めることが出来ます。

公式 売上債権回転率(回)=売上高/売上債権

売上債権回転期間(年)=売上債権/売上高

売上債権回転期間(月)=(売上債権/売上高)×12

売上債権回転期間(日)=(売上債権/売上高)×365

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高、連結貸借対照表の売掛金、受取手形、割引手形

棚卸資産回転率と棚卸資産回転期間

棚卸資産回転率とは、企業の棚卸資産残高が売上高に対し、どの程度であるか、棚卸資産が滞留していないかを把握するため指標です。

必要なものを必要な時に必要なだけ作る企業ほどこの数値が高くなり、無駄な在庫を抱えないリスクの少ない効率的な経営をしていると言えます。売上債権と同様で棚卸資産回転期間を計算することで、年単位、月単位、日単位にわけて期間を分けて把握することも出来ます。

公式 棚卸資産回転率(回)=売上高/棚卸資産

棚卸資産回転期間(年)=棚卸資産/売上高

棚卸資産回転期間(月)=(棚卸資産/売上高)×12

棚卸資産回転期間(日)=(棚卸資産/売上高)×365

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高、連結貸借対照表の棚卸資産

固定資産回転率と固定資産回転期間

固定資産回転率とは固定資産への投資が適切であるか、固定資産がどの程度効率的に利用され、売上高に結び付いているかを表す指標です。

固定資産回転期間は回収に長期間を要することが多いことから、回転期間は年単位で分析されます。
回転数が大きいということは少ない設備で売上高を達成しているという事なので、効率的に設備を運用できていると言えます。

公式 固定資産回転率(回)=売上高/固定資産

固定資産回転期間(年)=固定資産/売上高

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高、連結貸借対照表の固定資産

回転率と回転期間は3つを並べてみて比較しながら見て、毎年の推移が異常値ではないか、安定しているかを見る事が大切です。

安全性分析

流動比率

流動比率とは流動資産と流動負債との比率で、通常の売買取引にて発生する債権債務や1年以内に回収・支払を行う債務のバランスから企業の支払能力を把握する指標です。

この比率が大きいほど、企業の短期的な債務返済能力が高いということが把握できます。
一般的には、200%が目安とされていますが、少なくとも100%は超えていないと企業の財産状況としてリスクがあります。
取引先になる会社の流動比率を調べる事は多く、流動比率の高い会社は取引先としての信用力も高くなります。

公式 流動比率(%)=(流動資産/流動負債)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結貸借対照表の流動資産と流動負債

当座比率

当座比率とは、すぐき現金化が可能な資産である当座資産(現金及び預金、売掛金、受取手形、短期保有の有価証券)と流動負債のバランスからより短期的な企業の支払能力を把握する指標です。

例えば、流動資産のほとんどが棚卸資産である場合、その商品が長期に渡り販売できない場合等には販売から回収までの期間が長くなり資金化が遅くなるため、流動比率が高いということをもって企業の支払能力が必ず高いとは言い切れません。そこで当座比率を用いることで、より安全に企業の支払能力を把握することが出来るようになります。

公式 当座比率(%)=(当座資産/流動負債)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結貸借対照表の当座資産と流動負債

自己資本比率

自己資本比率は、企業が使用できる総資本のうち、自己資本の占める割合を把握する指標です。

自己資本は株主が拠出した資本であり、原則として返済する必要が無く、一定率の利息を支払う必要もありません。一方、他人資本(貸借対照表の負債の部の総称)はいずれ返済をする必要があり、利子のついている他人資本については利息を支払う必要もあります。そのため自己資本は他人資本にくらべて、安全性が高く、自己資本による資金調達の割合が高いほど長期的な財務の安全性が高い企業と言えます。

公式 自己資本比率(%)=(自己資本/総資本)×100

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結貸借対照表の資産合計又は負債合計+純資産合計、己資本は連結貸借対照表の総資産合計から新株予約権と少数株主持ち分を引いた金額

成長性分析

売上高成長率

売上高は利益の基礎であり、この伸び率を示す売上高成長率は、企業の成長力を把握する為の重要な指標です。

ただ会社が成長し規模が大きくなると毎年の売上高増加額が同額であっても分母の売上高が年々大きくなるため、成長率は自ずと低下します。
そのため必ずしも、売上高成長率が低いことをもって危険な企業とは言えません。
ここで重要なのが、売上高成長率の過去実績や競合他社、業界平均とを比較する事です。
過去実績や他社と比較することで売上高の成長要因が自社に起因することなのか、環境に起因することなのかといった成長要因を把握し、どのような方向で事業を展開するか等経営の意思決定に役立てる出来ます。

公式 売上高成長率(%)=(当年度売上高-前年度売上高)/前年度売上高

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の各事業年度の売上高

売上高研究開発費率

企業が研究開発に多額の資金を投じている場合には、将来の事業規模拡大に向けた準備をしていることが想定されるため、企業の成長の可能性を把握する指標です。

売上高に対して研究開発にかけている割合を把握することで、どの程度今後の事業規模拡大に投資を行っているのか、また過去の売上高研究開発費率を把握することで、現在の企業の状況に対してどの程度の研究開発が行われてきたかを把握することもできるので、研究開発の成否を把握し、現在の売り上げだけ研究開発費率が過剰になっているのか、さらに費用をかけて研究開発を行うべきかという判断に活かすことも可能です。

公式 売上高研究開発費率(%)=研究開発費/売上高

※参照先
有価証券報告書(第5【経理の状況】)
→連結損益計算書の売上高

有価証券報告書(第2【事業の概況】の【研究開発活動】)
→各事業ごとの研究開発費合計

まとめ

財務分析を用いることで企業の財務状況を売上高や営業利益といった一つ一つの項目だけではわからない経営の効率や何故利益があがったかという要因を把握することが出来ます。

但し、財務分析は万能なものではありません。突発的な変化が生じた際にはこういった分析によって出される指標は意味をなさないことも有り得ます。
常になぜこのような分析数値になるかということを意識し、その分析数値が実態を表すものとして意味のあるものかを把握した上で財務分析を進めることで企業分析に役立てることが出来ますので、注意してください。


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